PROJECT
プロジェクト メンバー 座談会
PROJECT
西九州新幹線プロモーション
2022年9月23日の西九州新幹線開業にともない、武雄温泉-長崎間を運行する新幹線「かもめ」および西九州新幹線の認知向上を目指す一連のプロモーション。このうちJR九州エージェンシーは、ブランドムービーおよびポスター制作を行った。
PROJECT MEMBER
-
江頭 静也 SHIZUYA EGASHIRA
2016年入社
コンセプト設計・クリエイティブディレクションを担当
-
久木田 天太 TENTA KUKITA
2020年入社
クライアントや関係者との調整や撮影などの進行管理を行う
巡ってきたチャンス
総力戦でのぞむ
- プロモーション始動の経緯を教えて下さい。
- 江頭
- 西九州新幹線の開業に向けて、いくつか盛り上がりのフックをつくっていきたい、というのがJR九州さんの意向でした。参加者を公募して開業する駅などに集まってもらい、歌や演奏で新幹線開業を祝うイベントがすでに動いていたのですが、「それとは別に、もう一つ何かできないか」という話をJR九州さんからいただいたんです。
- 久木田
- JR九州グループとして、うちにもチャンスもらえたという感じでしたね。
- 江頭
- それで、「いよいよ新幹線が開業する」というところにスポットを当て、メッセージ性のある動画と各駅に掲出するポスターをつくることにしました。ただ、西九州新幹線は、武雄温泉駅から先の整備について国と自治体で交渉が難航しているのも事実。そうしたなかで、どうすれば新幹線開業を多くの人に祝ってもらえるか…。結論として、ネガティブなことも含めたいろんな思いを乗せて走るのが新幹線なんだよ、ということを伝えようと思いました。
- 久木田
- 僕がチームに加わったのは、そうしたコンセプトが固まってからですね。
- 江頭
- この案件には営業2人と企画3人がつき、うちの会社の規模としては総力戦といってよかった。その5人でまずコピーの案出しをして、そのあと映像制作会社にも案出しをしてもらいました。決まったコピーは「はしれ、ぜんぶ乗せて」でした。
- 久木田
- 「はしれ、ぜんぶ乗せて」の前に、第一弾としてティザー(予告)のポスターを作ったのですが、そこには僕のコピー案「COME ON! KAMOME!」が採用されんたんです。
- 江頭
- シンプルだけど「新幹線がやって来る」という期待を感じさせ、いいコピーだと思いました。並べられたコピー案をざっと見て、「これだよね」という感じですぐに決まりました。
ひたすら待った新幹線
- 制作で苦労したところはどんなところですか。
- 江頭
- まず開業前ということで、新幹線が走っている映像が撮れないという問題がありました。
- 久木田
- ただ、試験走行は行われていたので、そこを狙うしかない、ということになりました。試験走行の日程を聞いて撮影ポイントを探し、カメラマンさんとスタンバイしていましたが、試験をしながら走るので時間通りには来ないんです。新幹線が通過するのをひたすら待ちました。
- 江頭
- 映像のメインとなるのは様々な立場の人の「走るシーン」で、映像監督さんにコンテを書いてもらいながら具体的なシチュエーションを固めていきました。いろんな思いを乗せて新幹線は走る、というコンセプトだったので、なるべく多くの人が走っているシーンを撮りました。
- 久木田
- 高校生たちがランニングしているシーンは、実際に地元の陸上部に協力してもらっています。
- 江頭
- どうやってお願いしたの。
- 久木田
- 「駅伝 強豪」でネット検索して出てきた高校の先生に連絡をとって、依頼しました。とにかくカット数が多かったので、撮影は大変でしたね。
- 江頭
- ロケ地選びも苦労したよ。長崎や佐賀らしい場所を探すため何度もロケハンに行って。福岡で撮影するときは、逆に福岡の雰囲気を出さないようにして。
- 久木田
- 営業として大変だったのはスケジュール調整でした。新幹線が試験走行する日にあわせて他の撮影もしようと予定を詰め込んだので…。
西九州新幹線のイメージも
会社のイメージも変えた仕事
- 動画やポスターの反響はどうでしたか?
- 江頭
- SNSでは、たくさんの嬉しい書き込みがありました。それまではネット上でも西九州新幹線の話題といえば、全線開業に向けた課題や見通しなどが多かったのですが、プロモーションによってポジティブな情報も増え、ずいぶん印象も変わったと思います。
- 久木田
- ポスターでは、モデルさんの写真を自分(駅員さん)たちに差し替えて掲出する駅もあって、ユニークな試みもありましたね(笑)。
- 江頭
- そういうのは、めちゃくちゃ嬉しいよね。
- 久木田
- 意外なところでは、この動画を見たクライアントから別のプロモーションのコンペに呼んでもらいました。
- 江頭
- うちの会社を媒体の会社だと思っている方も多いので、そういうお声掛けが増えることは嬉しいね。他の広告会社がJR九州のCMを制作して高い評価を受けてきたなかで、うちもそこに入って「いいムービーだね」と言ってもらえたことは、とても意味があることだと思います。
期待の新人と頼れる先輩が
タッグを組んで
- 二人が一緒に仕事をするのは初めてですか。
- 久木田
- この仕事の営業担当になったのは入社3年目の春で、江頭さんと仕事をするのは初めて。それまでは「頼れるよき先輩」という印象でした。
- 江頭
- 久木田君は2年目にJR九州さんに出向していたからね。でも、出向中もたまに飲みに行ったりして。
- 久木田
- 辛いことがあったら、帰ってきていました(笑)。
- 江頭
- もともと久木田君は入社する時から注目されていたよね。「すごい新人が来るぞ」という感じで。入社前にプライベートで会ったときは金髪だったし(笑)。
- 久木田
- そうでしたかね。
- 江頭
- 出向中は大変そうだったけど社会人として成長している雰囲気はあったので、戻ってきたら活躍してくれるものと期待していた。この仕事でもスケジュール調整など大変な役割を担っていたので、ここを乗り越えたらいい営業になるだろうな…と思いながら見ていた。
- 久木田
- 営業としてどう進めていくのが正解なのか、常に探っていた感じです。最初は「こういう内容でJR九州さんにメールを送ろうと思いますけど」って、クリエイティブチームの人に確認をとっていました。自分のメールが会社としての見解になるので、そこにずれがあってはいけないと思って…。
- 江頭
- 久木田君は大変そうなときも深刻さはあまり出さなくて、「やべーっすね」みたいな感じで(笑)苦労していることをグチグチいう感じでもない。そこはすごいなと思うね。
一生に一度、関われるかどうか。
その仕事ができた喜び。
- 改めてこの仕事を振り返って、いかがでしたか。
- 久木田
- 広告会社の営業らしい仕事ができたと思っています。大きな予算の管理。難しいスケジュールの調整。コピー案を考え、クリエイティブに関われたことも嬉しかったです。責任ある仕事を任され、それをなんとかやり遂げることができました。
- 江頭
- 入社して早い時期に大きな仕事を任されると、その後の仕事に対する責任感も全然違ってくると思うよ。この先、必ずつながっていくはず。
- 久木田
- クリエイティブチームからもアドバイスをもらい、クライアントとの調整やスケジュール管理などの感覚が少しは身に付いたのかな、と思います。1年間JR九州に出向していたので今回の担当者の方とも顔見知りで、いろいろと言いやすい面もありました。
- 江頭
- そこは本当に大きかったね。他の人が営業担当になるよりもコミュニケ―ションは断然スムーズだったと思います。
- 久木田
- 新幹線開業という大きなプロジェクトに関われることがスタッフのモチベーションになっていて、一致団結した感じはあると思います。
- 江頭
- 九州で広告業界に関わる人間にとって、仕事で新幹線開業に関われるのは一生に一度あるかどうか。自分にとってもこれまでの中で大きなプロジェクトでした。採用試験の面接で学生に「好きな広告は?」と聞くと他社のものが挙がることが多く、悔しさもありました。今回、「これはうちでつくったんだぞ」と言えるものができたので、会社のイメージも変わっていくと思います。
- 久木田
- 「一緒に働きたい!」と思う方が増えればいいですね。
- 江頭
- 本当に。個人的にもクリエイティブのスタッフを増やしたいと思っているから、そのきっかけになってほしいね。